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市場へGO! [日常の食卓]

            

毎日のお買い物…。皆さんは、主にどこへ出掛けますか?

今なら、週末ごとに家族で最寄の大型スーパーへ車で、っておうちが

多いかもしれませんね。

 

さて、トップ写真の素朴なたたずまいの建物は、

小樽駅から歩いて10分ほどの場所にある妙見市場」。

終戦後、満州や樺太からの引揚者たちが

この周辺で露店を構えて、鮮魚を商ったのがこの市場の始まりとか。

 

昭和30年代後半には強力な台風が小樽の街を襲い、

270軒あった露店も、川の氾濫で壊滅状態に。

そこで、氾濫した妙見川の上に小樽市がこの建物を建て、

店を失った人々を店子にしたこの市場が誕生したそうです。

 

小樽は商人のまちとして古くから栄えた土地。

市街地の真ん中には、店と住宅が一緒になった

建物が肩寄せ合うようにして建っていました。また、ちょっとした

路地裏には小さな木造の民家も数多くありました。

この市場は長年、そうした街の人々の毎日の食卓を支えてきたのです。

また、この地域に隣接して、歓楽街が広がっているため、

職人気質の料理人たちも日々、仕入れに訪れています。

 

妙見川の上に建てられた鉄骨造りのモダンな建物は、3棟。

その中には、かつて100軒以上の店が看板を連ねていたそうです。

しかし、市街地が郊外へ拡大し、車で買い物に行くことが普通になった

今、昔ながらの市場へ足を運ぶ人は年々、減少の一途をたどりました。

今では、市場で商いをしているのは、わずか25軒。

その大半が、最も山側にある建物に集まっています。

 

                       

 

かまぼこ型の建物の中へ足を踏み入れると、

目の前には、旬の生鮮品や手作りの惣菜、蒲鉾、乾物など、

さまざまなモノが並んでいます。 通りを歩く人は、お年寄りが多く、

往時のような活気は少ないものの、小樽の昔ながらの暮らしを

五感で味わうことができます。

 

観光都市として多くの旅人が訪れる小樽では、

市内に点在する市場が年々、観光化し、函館の朝市のような

雰囲気になってしまいました。しかし、街の真ん中にひっそりと

遺された(とり残された?)この市場では「蟹のお土産はいいのぉ?」

「イクラやウニも安くしておくよ~」なんて、

ふらりと訪ねた旅人を呼び止める人は誰もいません。

ですから、小樽の日常風景を心ゆくまで楽しむことができます。

 

色艶の良い葉モノ野菜にコロッと太った根菜に目を奪われ、

鮮魚店の前では、仲良く並んだ旬の走りのシャコと名残の甘エビに

心も胃袋もメロメロ。 お隣の惣菜店から流れてくるおでんの醤油の

香りにも、鼻をくすぐられて…。

 

そんな数々の美味しいワナが仕掛けられた市場をひと巡りすれば、

その日の献立が自動的に決まります。

見慣れない素材は、その調理法をお店の

お母さんや大将が得意げに語ってくれます。

10月の下旬、久しぶりに訪ねた「妙見」で、市場ならではの

匂いと賑やかさに包まれて、忘れかけていた小樽という街の温かさと

懐かしさに触れた気がしました。

 

 

 

 

            

             小樽の庶民風おでんは、関東式。醤油がしっかりきいた

             黒っぽいツユもまた、郷愁をそそります。

 

 

妙見市場は、お母さんが元気な市場です。

昨年、市場内の女将さんたちが、妙見にもう一度、往時の活気を

呼び戻したいと「かあさん部会」を立ち上げました。

そして、大売出しのお買い得情報に市場の歴史や素材の豆知識などの

コラムを掲載した「かわら版」を発行。市場の雰囲気をより

明るく、元気なものにしたいとさまざまな試みを行っています。

 

さらに、今年5月にはパン職人さんを新たに雇い、市場の手作りパン屋

「マルシェ」を開きました。 営業は月・水・金の3日間限定。

店頭の接客や後片付けは、手のすいている女将さんたちが交代で

担当しています。その「あ・うん」の呼吸を見ていると、

市場の人々がひとつ屋根の下に暮らす大家族のように思えてきました。

 

店頭に並ぶ、焼きたてのパンは道産小麦を使い、無添加で仕上げたもの。

ふわふわの生地を香ばしく焼き上げたアンパンやコルネ、

レーズンパン、ピロシキなどのほか、全粒粉のどっしりとした

味わいを生かした食事パンも充実。フランス生地のバケットも

ただ今、試作中とききました。

最近では、このパンを買うために、再び市場へ足を運ぶ人も

増えているそうです。

 

市場を歩いて、今日は焼きたてのパンとワインに合う魚料理で

…な~んて、考えられる市場が住まいの近所に

あったら、きっと毎日の食卓がもっと楽しくなるに違いありません(^^

今の暮らしにフィットする市場を目指して頑張る

市場の人々の情熱の向こうに、小樽という街が培ってきた

食への意識の高さをチラリと垣間見たような気がしました。

 

              

 

 ↑真ん中の1棟は、ただ今休業中。大家さんである小樽市と市民、

市場の人々がその有効な活用法を考えて、まちづくりの拠点となる

空間として利用する予定だといいます。

パン屋サンのある棟も、ただ今、2軒の空きテナントがあり、

入居者を募集中です。まだまだ、妙見市場は進化の途中。

これからも、時々、籠を片手にふらりと訪ねたいと思っています。

 

     *・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*

 

                 

10月31日のハローウィンの日、留守中に届けられた

季節色の贈り物。 届けてくださったのは、ご近所で

長年お付き合いくださっている、お花屋サンの父上。

時々、季節の色と香りを詰め込んだ

贈り物をそっと玄関先に置いていかれます。

なかなかお目にかかれず、お礼をきちんと言う機会がなく、

季節だけがいつもどんどん進んでしまいます。

 

Sさん、いつも気にかけてくださってありがとうございます。

秋色のアレンジは、玄関のカウンターに

Sさんのお店で買ったカラスウリと一緒に飾って楽しんでいます(^^

 

今年の秋は、いつもの年よりも格段に

オレンジの温かさ、明るさが心にジンワリと染みます。

その美しさをここを訪ねてくださっている皆さんにも、

ちょっとだけお裾分けしますね♪

 


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コメント 11

えーっと、あわび2山としゃこ、それに甘エビ2山 お願いします。
by (2005-11-02 19:25) 

lion-penguin

蝦蛄(シャコ)おいしそう…。 市場なんて しばらく行ってない。
相方が市場好きなので たまに一緒に行く程度。
私の実家のすぐ目の前に市場がありました。かなり繁盛していて子供の頃はよく行きました。近くにスーパーができてからは 店舗はみるみる減っていって…。さみしかったですね。そして客が減ると新鮮なものも置けなくなり…。
今はアパートが建っています。 市場は好きなんです。私。たぶん。
by lion-penguin (2005-11-02 19:26) 

harry

市場はワタクシも好きです。地元に密着した市場って、楽しいですねえ。
都内でも、今はどうか知らないけれども、我々が学生の頃の吉祥寺の北口の商店街には市場風の一角があって、なかなか楽しかったです。夕方に安く値切って。
コスタ・リカのステイ先の街の中心にも壊れかけた体育館のような市場=メルカードがあって、たいそうな熱気だったなあ。沢山の店が「ひとつ屋根の下」っていうのがいいんですね。
↑ここ、そのうちに案内してもらおうっと。
by harry (2005-11-02 21:30) 

こんばんは、MORIHANAさん♪
小樽から近いところに、こんな市場があるんですね!
市場好きとしては、値段チェックしちゃいました(笑)
甘えび1盛り400円・・・あわびが1700円!?もう激安です。
小樽住みたいかも(^.^)
ハロウィンのお届けモノ、素敵ですね☆
by (2005-11-02 21:50) 

ナツパパ

大学生の頃ですから、もう30年も前、小樽は毎年2回ほど尋ねていました。
そのころの面影は、ホント少なくなりました。
静かな北の港町だった小樽は、白黒写真の中だけかと思っていましたが、妙見市場のお写真を拝見して、絶句しました。‥‥‥なつかしいなあ。
家と家が寄りそって建っているような、ぬくもりのある小樽の街、そんな風景を思い出しました。
by ナツパパ (2005-11-02 23:41) 

GRD

妙見市場には行ったこと無かったです。
でもいいですね、こう言う“観光地化”されていない市場は。
確かにせっかく行っても、「カニ・ウニ・イクラお土産にどうぞ~」なんてあちこちで声を掛けられては落ち着いて買い物なんてできませんからね。(しかも、私が探すのは決まって“ゲテ”ですし…)
by GRD (2005-11-03 04:07) 

MORIHANA

まーさん>へい、了解っ。…って、送ってあげられると良いのに。
そのうち、blogお国自慢直送便のネットワークでも作りますかね(・・?

りおんさん>市場は原則、日曜休みですから、たまに土曜日の買出しに
出かけてみてはいかが? たまに行くと、気分も新鮮。 スーパーでは
わからない地域の季節が体感できますよ。

harryさん>東京だと、市場というよりも駅前商店街ってイメージですね。
でも、雰囲気は同じ。北国は冬が長くて、雪が積もるので市場の形態が
多いのかもしれませんね。市場好きなワタクシが憧れているのは、フランスや
イタリアの市場。そこでお買い物をして、コンドミニアムのようなところで、
何か作ってみたいなぁ。 その土地の素の生活が見える場所って、
素敵ですよね。 ぜひ、いつかまるこさんとお出掛けください。
OMEGAさんも誘って、小樽路地裏&市場じろじろ歩きツアーをしましょう(^^
別名、食い倒れツアー…ともいいますが(笑

びぃびぃさん>観光化されていない市場は、安いし、なんと言っても
お店の人が魅力的。 キャラの濃いオジサンとオバサンの坩堝です。
小樽を観光する際には、こんな場所にでかけると後で良い思い出になります。
ちなみに、我が家から小樽は高速バスで40分弱。なので、時間があるときに
時々、小樽の市場へ買い物に行っています。最近は忙しくて、ご無沙汰でした
けれどねぇ(^^ゞ やっぱり、市場はサイコーです!

ナツパパさん>ご指摘の通り、小樽の街並みは行くたびに変わっています。
あったはずの古い建物がなくなっているのは日常茶飯事。
でも、まだ、ウロウロあるくと、こんな市場や木造長屋風の民家なんかが
街の片隅に残っているんですよ。 ナツパパさんも、次回、ご来道の際には
小樽散歩をスケジュールに組み込んで、
古きよき時代の残り香を満喫してくださいね~(^^

OMEGAさん>ぜひ、お立ち寄りください。蒲鉾屋サンで、揚げたて熱々の
蒲鉾を頬張りながら歩くのも楽しいです。 調子に乗って食べ過ぎると、
あとでもの凄く胃がもたれて、胸焼けがするけれどね(苦笑
古い商店街や市場って、ゲテ遭遇率も高いですよ、きっと。
by MORIHANA (2005-11-03 10:41) 

hanamiya-okinawa2005

素敵な品揃えの市場ですね(^O^)/あわび!パンまであっていいなぁ!それも美味しそう。お財布の紐が緩みそうですね~!
うちの近所の市場はなんか寂れていてとても入れないの^_^;進化する小樽の市場がうらやましいなぁ~
カボチャバスケットのアレンジかわいい♪豊作ですね~
by hanamiya-okinawa2005 (2005-11-03 20:19) 

ひよこ豆

あーん、ゆっくり写真を撮ってみたいです・・(*_*;
唐辛子、欲しい!
あわび、安い・・私もね。
小樽・・....φ(・∀・。)
こゆきちゃん、おりこうになってゆくんだろうなぁ。
by ひよこ豆 (2005-11-04 08:03) 

maduta

あわびのお安いこと・・・。しゃこもどっさりですね!
市場は好きなのですが、買い物下手なんです・・(苦笑)
声をかけられて、それじゃぁ、とすぐ買ったり、ささーっと去ってしまったり・・・。
本当はもっと、ゆっくりじっくり見たいのにぃ(反省)
パンも、おいしそう♪試作中のバケットも気になりますね。
by maduta (2005-11-04 13:28) 

MORIHANA

はなさん>この妙見市場も、一時期はさびれにさびれてしまってね、
ワタシもしばらく行けませんでした、ぢつは。 で、このままじゃぁ、いかんと
市場の人々が立ち上がり、一つの建物に集まって、再建&活性化に
一丸となって頑張っております。 その心意気を応援したく(非力ながら…)
記事にアップしました。 はなさんも、機会を見つけて、地域の市場を
活用してくださいね。…そうしないと、ホントになくなっちゃうから。

ひよこさん>ワタシも結構バタバタでね、こんなんで良いのかなぁ
なんて思いつつ、写真を撮り、とりあえずアップしています。
続けることが、今は大事かなと思って。撮るには撮っても、その後の
処理に時間がかかるよねぇ。 データをアップするのも。 ボツボツ、
できる範囲で頑張りましょう、お互いに(^^
ところで、ひよこさんはblog Petは導入しないの(・・?
Petを介して、色々な交流ができるみたいですよ。ぜひ、ひよこさんも
Pet仲間に入ってくださいな…。

mabutaさん>試作のバケットを試食しましたが、なかなか、限られた
市場内の設備の中でつくったにしては、上々の出来でした。
皮はパリパリ、中はモチモチ。おいしかったなぁ。本格デビューが
待ち遠しいです(^^ 市場は、スーパーのように何でも揃いませんが、
その代わり、季節がきちんと並んでいる気がします。
時々、覗くとスーパーではわからない季節の色や匂いに出会えますよ♪
お散歩気分で、気軽に出かけましょ(^^
by MORIHANA (2005-11-04 17:27) 

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